十数年前、福岡でめちゃくちゃ面白い音楽をやっているバンドを見つけた。
そのバンドこそがnontroppoだった。
あらゆるジャンルの音楽的要素をグチャグチャにごった煮にして、自らの楽曲に落とし込んだその猥雑さに僕は魅了された。
彼らのライブに足繁く通い、どっぷりとはまり込んでいく。
普通にお客さんとしてnontroppoを観に来ていたサンセットライブ。
海と山に囲まれた自然の中で観るnontroppoは、また格別だった。
nontroppoの良さは、とにかくそのライブにある。変幻自在のライブ力。
「このバンド、マジですげえ」
乱痴気騒ぎの客席で踊り狂った記憶が鮮明に残っている。
それから十数年の時を経て、その大好きなバンドの主からサンセットライブ夕凪ステージ出演のオファーが届く。
「好きでいる」ことを続けていると何が起こるか分からないものだ。
十数年間の時間の中で、縁に縁を重ねて起こったミラクル。
紫川カナシミ合唱団(仮)、すでに解散していたんだけど、他のメンバーに確認することもなく、「出ます!」と震えながら返事を送った。
他の2人に断られても、ひとりでも出ようと思った。
そして、サンセットライブ夕凪ステージでのライブを終え4日も経って、ようやく冷静さを取り戻し、ここに至った想いを綴っている。
実際に体感してみて感じたこと。
夕凪ステージには地に足付いた確固たる思想・信念があった。
他のステージにそれがないかと言われれば何とも言えないが、夕凪ステージに渦巻く熱い想いは、他とは比べものにならないくらい強烈なものだった。
それは主催のボギーさん、あかおさん二人の胸の内そのものだ。
そして、夕凪ステージの出演者たちは、もれなくその2人の想いを的確にくみ取り表現として爆発させる。
だからあの場には独自のグルーヴ感が産まれる。
音楽が産み出すグルーヴというよりは、もっと胸の内側から溢れ出してくるグルーヴ。
そして、お客さんも同様にそう。
面白いものに対する嗅覚の鋭いお客さんたちが自然と集まり、場のもたらすグルーヴ感をさらに昇華させ混沌を産み出す。
サンセットライブ1日目、トリのボットンズのがっちゃがちゃな最低で最高な演奏。
ヒートアップしていく夕凪ステージ。
巻き起こるモッシュの渦の真ん中で、僕はこっそり泣いていた。
そこに集まった全てのドブネズミたちが、あまりにもキラキラして、あまりにも美しかったから。
いまさらだけど
ボギーさん、あかおさん
集まってくれたお客さん
あぁちゅ、りんご
そして、夕凪ステージ
最大級の感謝を込めて。
どうもありがとう。